さあ、いざ今日は山登りだ。
メインとしているマウントフェザートップの前に、せっかくだから道中通る、街の地元の人たちに愛される山にも登ろう!
ロードトリップ1日目の宿はDiamond waters caravan parkでテント泊(ちなみに毎日どこまで行けるかわからないので、当日宿泊テント場所を取るのにWiki campというアプリに課金して日々挑んだ、無料で泊まれる場所も教えてくれる)
明日登る山、North broter mountainが湖を挟んで見える、贅沢な時間を過ごした。


途中で超筋肉質の野生のカンガルーが超跳躍してきた時はちょっと怖かった。

山の麓の街に朝から空いているスーパーがあるので、行動食は明日の朝、登る前に買うつもり。
明朝、馴染みのない鳥達の鳴き声で起き、だらだらと片付けをし、キャンプ場とはお別れ。目星をつけていたスーパーへ向かう。
登りは片道1時間半、上でゆっくりすることを加味しても3時間ほどで戻って来れそうなので、歩きながら簡単に食べれる朝ごはんにフルーツと、上でのんびりしながら食べる軽食を買おう。
現地のスーパーで買い物することは、日本各地でも、異国の地でも楽しみ。
まずは朝ごはんのフルーツ探し。オーストラリアはマンゴーが安い。そしてちゃんと甘くて美味しい。日本に住んでいると、高級フルーツのイメージのマンゴー。こちらでは高くてもひとつA$200(この時のレートで200円弱くらい)

魅力的なだけれど、山登りのお供には向いていない…。剝くのも大変だし、出るゴミが多め、そして手もべとべとになる。そしてマンゴーは冷やして食べたい。
ので、他のものにすることに。
日本でイメージするものよりふたまわりくらい小さいりんご。これは良い。そのままかじれるし、サイズも程よいので食べるのが大変ではないし、手の汚れもまあ許容範囲。

別に食べたいわけではないけど、栄養価、食べやすさ、腹持ちの良さに最適なバナナをなんとなく見ると、2、3本で500円くらいした(g売りなのでなんとなくだけれど)。高い!なんで!!日本だと一房100円くらいで買えるのに…
緯度、経度に、日本と似ている真逆の季節、というイメージなのに、マンゴーが安くてバナナが高い不思議。
なので今回は、りんごと、隣のパン屋でシンプルなドーナツを買った。


登り初めて、思っているよりなんだかハードだな…舐めてたな…という気持ちになる。刺すような日差しと、緑の濃さ、湿度の高さで息切れがいつもより早い。
たまにすれ違う地元の人たちとhi!と言い合いながらちらっと荷物を見ると、バナナを持っている人が多い気がする。りんごじゃないんだ。
思ってたよりハードだけど眺めの良い展望に到着し、上でのんびり過ごす。横にいた絵を描いている男性に声をかけてみたり、お互いのものを交換してみたり。

そんなこんなで楽しみながら下山し、また次の街へ向かう。
次の日の朝、到着した街でコーヒーを飲もうと、地元のカフェに立ち寄ってみる。
外の席に座りながら、朝から仕事前の人たちがコーヒーを買いに来るのをぼんやり眺める。良い時間だった。
仕事前の作業員と同じくらい、バイカー達が立ち寄る。どんどん、どんどん自転車に乗った人たちが入れ替わり立ち替わりこのカフェに入ってくる。
確かに、通ってきた道を自転車漕ぐのは気持ちよさそう。後から調べると、バイカー達に人気のロードだったみたい。
そして、バイカー達のポケットには、バナナ… もれなくバナナがささっている。
みんな、バナナに絶大的な信頼を置いている。

ここで、私も夫も、お互いひっそりバナナに憧れを持った。多分。
日本ではなんてことなく安く買えるバナナ。栄養価があるのはもちろん知ってるし、”トリプトファン”という成分が多く、鬱状態にも良くて、素晴らしい食べ物、ということは分かる。けれど、特にそんなに好んでは食べないバナナ。
バナナブレッドや、バナナジュースなら好きだけど、生ではわざわざ家で食べることをしなかったバナナ。
異国の地で、高く感じるのに、格好良い人たちがこぞって食べていると、ミーハー心が疼く。
それでなくても、私たちは⚪︎⚪︎スーパーはこれが安い、とかいいながらロードトリップをしているのに、お互いバナナに憧れを抱き出す…。リュックにバナナをさしたい。
さあ、また明日の買い出しをしよう、と、違う街でスーパーに向かう。これはどこの国でも同じなのか、果物、野菜の生鮮から始まる入り口に入ると、夫は一目散にバナナの量り売りコーナーへ向かっていた。
買った。
お互い、やっぱり高いなあ、とか言いながら、買った。
でも、りんごよりお腹いっぱいになるし!うんうん!と、すんなり買えばいいのに言い訳をしながら。

今思えば、別に、高くても500円くらい、異国の地で、それでテンションが上がるなら、行動食にも、朝ごはんにも間違いないし買えばいいのに。
でも渦中にいると、何故かそれを買うのがすごく高いものな気がして言い訳をしながらでないと買えなかった(笑)
憧れのバナナを大事に、ドライブしながら朝ごはんにしたり、メインのフェザートップマウンテンでも、しっかりリュックにさしていった。




私たちの絶大なる信頼を得たバナナ。日本に帰ったら、絶対に買おうと心に決め、いざ帰国してから買ったバナナ。
あぁ、安い、この急激な物価高で疲弊している日本のスーパーでも、バナナは一房で100円台。
私たちは大喜びでカゴに入れ、次の日の朝からの楽しみに。
…
1週間後、バナナはまっ茶色。いやまだぎり食べれるので食べますけどまっ茶色。あんなに喜んで食べていたバナナ、憧れのバナナ。
日々に定着していないのもあり、朝の忙しさでついつい食べ忘れたままのバナナ…
憧れが、いとも容易く手に入ってしまうと、こういうことになるのか、という、何とも言えない気持ち。こんなことわざありそうだな…
今年のアルプスには、バナナを持っていくとこからもう一度、始めてみようかな…
